毎年のように発生する風水害。近年、その発生件数や被害の規模は大きくなっています。中小企業にとっては業務の中断や建物や設備の損害は、直ちに会社の存続に関わる重大なリスクになってしまいます。被害を最小限に抑え、従業員の安全と会社を守るためには、事前の準備が何よりも重要です。本記事では、オフィスの安全対策から従業員への対応、情報共有、復旧計画まで、企業が事前にチェックすべき5つのポイントをわかりやすく解説します。
目次
1. オフィスの物理的な備え
1-1 風水害に強いオフィス環境とは?建物・設備の点検ポイント
風水害による被害を最小限に抑えるには、オフィスの建物や設備の点検が欠かせません。風水害が接近すると、警戒レベルが発せられます。警戒レベルが発せられたら、屋根や窓、排水溝に破損や詰まりがないか確認し、ガラスには飛散防止フィルムの貼付を検討しましょう。看板や植木鉢など飛ばされやすい物は屋内に移動します。非常用電源設備がある場合は稼働チェックも必須です。モバイルバッテリーやパソコンなどの充電がされているかも確認を。定期的な点検を行っていれば、いざと言う時にも慌てず対応できます。
1-2 停電・浸水対策の具体例と導入のすすめ
停電や浸水は、業務の継続に大きな影響を与える可能性があります。まず、重要な設備や書類は床から高い位置に保管し、漏電や水濡れによる損害を防ぎましょう。浸水が懸念されるエリアの止水板や吸水マットの導入や非常用電源(ポータブル電源や発電機)の導入も、費用はかかりますが、被害を抑える効果を期待できます。浸水してしまうと、一緒に雑菌も入ってきてしまいます。特に、衛生管理が必要な食べ物や製品を扱う会社の場合は、事前にしっかりと対策を検討し、講じておくことが大切です。

2. 従業員の安全確保と行動ルール
2-1 在宅勤務・早退の判断基準
風水害の接近時・発生時の通勤や退社のルールは、従業員の安全確保の観点から非常に重要です。会社としては、気象庁の警報発表を基準に「出社見合わせ」「自宅待機」などの明確な対応ルールを策定し、あらかじめ従業員に周知し、迷わず判断できるようにしましょう。最近は、公共交通機関が早めに運休の判断をするようになっています。そのため、電車通勤をしている従業員がいる場合は早めに帰宅させ、「会社は出たが、帰宅できない」という事態が発生しないようにしましょう。
2-2 判断のタイミングと判断する人
風水害の場合、事前に接近を予測することができます。どのタイミングで誰が判断するかは、営業時間かどうか、全員が同じ場所で勤務しているのか等、それぞれの会社の状況によって変わってきます。基本は、社長やリーダーが判断しますが、就業時間外だったり直行直帰の就業形態等の場合は、従業員一人一人が判断しなければなりません。だからこそ、風水害の接近時・発生時の通勤や退社のルールが必要であり、BCPの一つの要素になってくるのです。
おおよその判断のタイミングを示しておきましょう。会社によって状況は違いますから、それぞれの会社に合うように検討してください。 とるべき行動と警戒レベル
- 警戒レベル1 気象情報を継続的に確認。休業に入る場合に必要な対応を検討。
- 警戒レベル2 データのバックアップ、設備等の浸水対策、車両の移動、危険物の移動など
- (警戒レベル2) 電車などの公共交通機関を利用する従業員は早めに帰宅させる
- 警戒レベル3 休業の判断。必要な対応(取引先への連絡や休業の告知等)を行い退社。
- (警戒レベル3) この段階から出勤はさせない。
- 警戒レベル4 会社に待機する人以外は、自宅待機。
- 警戒レベル5 命をまもる行動
3. 安否確認と情報の収集
3-1 従業員の安否確認と災害時の情報伝達手段
緊急時には、社員とのスムーズな連絡が生命線となります。電話・メール・チャットなど複数の手段を用意し、連絡網の整備をしておきましょう。また、通信障害などのリスクも想定し、緊急連絡先の紙ベースでの控えや、災害用伝言板・災害伝言ダイヤルを使えるようになっておくことも大切です。安否確認は「災害が起こってからする」ものですが、定期的に災害を想定して練習をしておくようにしましょう。
3-2 気象情報・自治体からの情報収集方法とツール紹介
正確な気象情報を得るには、気象庁の公式アプリや自治体の防災メールへの登録が有効です。その他にも「Yahoo!天気災害」や「tenki.jp」「キキクル」など、リアルタイムで警報・注意報を確認できるツールを複数活用するとよいでしょう。情報収集をする担当者やどこからどの情報を得るかを決めておきましょう。
4. 業務継続計画(BCP)の確認
4-1 風水害に対応するBCPとは
BCP(事業継続計画)は、災害時でも重要業務を止めないための企業の生命線です。先に述べたように、風水害は地震災害と違い、事前に接近を知ることができます。対応方法が判っていれば、被害を最小限に抑えることができるのです。準備がないままに被災し「やっておけばよかった」と後悔しないように、対応の手順を決めておきましょう。
<決めておきたい対応手順の例>
- 出勤や退勤のルール
- 守る必要のあるもの(書類や設備など)確認と浸水対策の必要性の有無と手段
- 安否確認の方法、効率良く情報を収集できる準備
- 減災のための対応(危険物や設備等の移動、データバックアップなど)
- 休業する場合の連絡や告知の手順
- 風水害の通過後の確認手順(社屋、設備、事務機器類等)
- 被災した場合の連絡先の確認
- 業務停止が避けられない場合や仕入れ先が被災した時の代替手段
- 設備の復旧手順、事業再開の手順
4-2 データのバックアップとクラウド活用法
台風による停電や機器故障に備えて、データのバックアップ体制は万全ですか?クラウドストレージ(Google Drive、Dropbox、OneDriveなど)の活用により、遠隔地からでも業務継続が可能になります。加えて、定期的な自動バックアップの設定や、社内サーバーとクラウドの併用により、万が一のリスクにも備えることができます。

5. 復旧後の対応と社員サポート
5-1 被害状況の記録
風水害の通過後は、速やかにオフィスの被害状況を確認し、被害がある場合は必ず写真・動画で記録を残します。損害保険や自治体の支援を受ける時に、証拠として必要となるケースが多いためです。自治体による支援策を利用するためには、被災証明や罹災証明が必要になります。会社だけでなく、個人の家の被害も同様ですので、従業員にも災害の被害があったときは、写真や動画の記録を残すように周知してください。
5-2 従業員のフォロー体制づくり
自宅が被災して出勤ができない、保育所が被災して子どもが預けられず出勤ができない、負傷してしまった等、従業員が被災するケースもあります。このような場合に、会社としてどのように対応できるのかも想定し、検討しておくことが望ましいでしょう。また、自宅が被災している場合、困難な生活を送ることになります。自治体の支援策を有効に活用できない被災者が非常に多いので、会社として情報を提供するなど、従業員の生活再建をフォローしていくことも大切です。

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